『赤啜』音響について第二回です。
前回は使った機材を一覧で紹介したので、第二回はそれぞれの使い方を個別に紹介していこうと思います。
まずはこちら。


①メインPCとオペレートに使用した「Ableton Live」。
写真だと赤啜のウェブサイトが出てますが、本番中は台本をPDFで表示させ、Liveは画面の大きなサブディスプレイ(④)に表示させてました。
画像だと小っちゃくてよくわからないかとも思うけど、中身が丸見えになっちゃうのもなんか恥ずかしいので勘弁してね(笑)。
Liveに関しては使い方講座みたいなものを今後企画しているので、そちらであらためて紹介できたらいいかなーと。
で、今作で使用したトラックは全部で19トラック。
画像で見えてるのは青い四角の7つと黄色い8つで合計15トラックなんだけど、黄色い8つのうち2つは3トラックをグループ化してるので、実際は7+6+3+3で19トラックね。
左側の青い7つは「ダミートラック」と呼ばれるAbleton Liveの裏技(?)。
本来は作・編曲用のAbleton Liveが演劇やミュージカルなんかの舞台音響に活用されている一番の所以とも言われてます。
詳しくはまた別記事で解説するけど、「Liveの挙動をコントロールする」ために置かれたトラックで、ここに音源は入っていません。
替わりに「ダミークリップ」という無音のクリップが置かれていて、これを再生することで任意のタイミングでフェードイン・アウトをしたり、エフェクトを切り替えたりできるので、物理的に2本の腕では足りないときに自動でLiveを操作してくれるという、ワンオペの音響さん必須のワザなんです。

・・・見えるかなぁ?
赤丸したとこに「▶F.I.」と「▶F.O.」てのがあるんだけど、これを再生すると、あらかじめ設定しておいたフェードインやフェードアウトをしてくれるのね。
BGMも効果音も使う順に並べて、基本的には再生ボタンを押していくだけという方式を採っていたから、その合間にこのダミークリップを置いておくことで、任意のタイミングで自動的にフェードインやフェードアウトする、ということができるようにしてました。
今作の冒頭ではちょい重ためなBGMが流れ、主人公・オーカーの独白に合わせて村が焼かれていく音がゆっくりフェードインしてきて。
この「村が焼かれている音」は複数の音・・・具体的には火が燃えるパチパチっていうのと、地響きぽいのと、木造の建物が崩れるような音を同時に鳴らしてたから、いっぺんに操作するためにこのワザを使いましたね。
他のシーンでも似たような理由でけっこう多用してます。
あとは同じ効果音でもシーンによってエフェクトを掛けたり、掛け方をより深くしたい時にもこのダミークリップはよく使いました。
ホント色んなことができるので、Liveで音響やる人はぜひ知っておいてほしいテクニックです。
あらためて、なんて言っといて中途半端に解説しちゃったけど、案の定長くなったので今回はこの辺で。
次回は「Ableton Live ~後編~」です(笑)。
それではー。(・続々・)ノ