赤啜 音響その4。

『赤啜』での「Ableton Liveの使い方」に関しては前後編で終わりにする予定だったんだけど、思ったより書くことがいっぱいになっちゃって。
一応今回で「Ableton Live編」は終わりにする予定です。

んで、今回は「効果音について」です。
割とココは質問をいただくことも多くて。
「戦ってるとこの効果音とかどうやってるの?」とかね。

これには大きく分けて2つのやり方があります。

 ・最初に全部音楽に合わせて効果音を重ねちゃって、演者さんがそれに合わせて動く
 ・演者さんの動きに合わせてリアルタイムに音を出す

簡単に言うと、「音に演者が合わせる」「演者に音が合わせる」かになるってことですね。

どちらが正解とかはなくて、俺も条件に応じて使い分けてます。
まぁ、ほとんどは後者で『赤啜』でも演者さんの動きに合わせて音を出してたんだけど、前者を使う場合もあるし、もちろん両方にメリット・デメリットがあるからね。

それに関してはこれまた長くなるので、ここでは割愛。

で、先述の通り『赤啜』では後者、つまり演者さんの立ち回りに俺が音を合わせていました。
もちろんCDプレーヤーとかPCの標準ミュージックアプリじゃ到底不可能な芸当なので、そこで「Ableton Live」の出番なわけです。

とは言ってもAbleton Liveでなきゃできないなんてこともなく、一般的には「サンプラー」という機材を使います。
俺も2015年くらいまではワンショットサンプラーの名器、Rolandの「SP-404」を使ってました。

↑コレね。
1~12のパッドに効果音を登録しておいて、そのパッドを押すと効果音が鳴る、ていう機材です。
今はもっぱらAbleton Liveでやってるので、この写真撮るためだけに5年ぶりくらいに引っ張り出してきました(笑)。

Ableton Liveで効果音を出すやり方も大きく分けて2つあって。
1つ目は上のサンプラーと同じように、外部のコントローラーに音を登録しておき、効果音を鳴らすというやり方です。
これは色んなところで繰り返し使う汎用的な効果音に向いた使い方。
演者さんのタイミングで効果音の順番が前後してしまう可能性があるときにはこの方法を使います。
上の写真の赤丸部分の効果音が外部コントローラー(今回使ったのはKORGの「nanokey studio」)の鍵盤みたいなのとリンクしていて、対応した鍵盤を押して効果音を出してました。
例えば、赤丸右側が3・2・3で色分けされてるのが分かると思うんだけど、これがそのまま上段にあるピアノの黒鍵盤部分にリンク(アサインといいます)されていたんですね。

具体的には、不特定多数の兵士やバンパイアが入り乱れて戦ってるシーンでは、ココの鍵盤で効果音出してました。
あくまで「戦場の背景音」というニュアンスだったので、特に演者さんたちの動きに合わせたりはしてなかったですけどね。

もう一つは、BGMと同じように使う順番に上から並べて順に再生してくやり方。
チャンバラの効果音はこちらで鳴らしてました。
最初に振りを全部仕込んでおいて、演者さんの動きに合わせて再生ボタンを押していく。
BGMと効果音を同じ機材の中でいっぺんに扱えるので、上のやり方に比べて操作が大幅に簡略化され本番のミスを減らすことができるんですね。
これを別々の機材、例えばCDプレーヤーで音楽を再生して、ミキサーで音量を調節して、同時に効果音も鳴らして、かつ効果音の音量も調整して・・・ってなると操作が凄まじく複雑になり、当然ミスも増えることになります。

以前はチャンバラがある公演は比較的規模の大きなものばかりで、操作を分担するためにヘルプの音響オペレーターさんを都度お願いしていたんですが、『隻眼の紅蓮丸』シリーズをはじめ、イベントに呼んでいただいた先でチャンバラやることが増え、毎回毎回ヘルプの音響さんを呼ぶことが難しくなってきてて。
なんとかクオリティを落とさずにワンマンオペで対応できないかと試行錯誤してきた結果が現在のスタイルということになるのかな。
効果音自体は先に仕込んでおくんだけど、タイミングは演者さんに合わせるという、最初に書いた2つのいいとこどりみたいなやり方とも言えますね。

ぶっちゃけ、コレがやりたくてAbleton Liveを導入したというのがホントのところです。

プロの方だと、Ableton Liveは効果音専用に使ってて、BGMは別に用意して使う方も多いみたいですね。
もちろん機材同士をリンクさせて操作をいっぺんに行えるような工夫はされているみたい。

ここまで「Ableton Liveでこんなことしてたよ」ってのを紹介してきましたが、最大のメリットは「BGMと効果音、それぞれの音量の調節をワンマンオペでいっぺんにおこなえる」というところに尽きます。
どれだけ中身を複雑にしても本番の操作自体を簡略化できるので、言ってしまえば凝り放題。
もちろん、自分のアイデアとセンス次第ではあるんだけど。

逆に最大のデメリットは、システムのほぼ全てをAbleton Liveに委ねているので、万が一PCがクラッシュしたり、Ableton Liveがフリーズしたりしたら、それ以降一切の音響が鳴らなくなるという恐怖です。
常にそのリスクが付きまとうので、万一に備えたバックアップは必須ですね。

さて、今回でAbleton Live編は終了となります。
次からは違う機材の紹介に移ります。順番的には、オーディオインターフェースかなぁ?
ということで、『赤啜 音響解説』まだまだ続きます。
正直、誰得な企画ではありますが(笑)、もうしばらくお付き合いください。

それではー。(・続々々々・)ノ

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