1.PAの基礎の基礎

PAとは、Pablic Addressの頭文字で、「ピー・エー」と略します。
もともとは「拡声装置」「放送設備」を指す言葉だったんですが、装置を使ってオペレートを行う人を指す言葉としても定着しています。
「Pablic」は「公衆」、「Address」はよく使われる「住所」の他、「演説」という意味も持っており、直訳すると「公衆演説」となります。
余談ですが、かのヒトラーがこの「拡声装置」を使って演説を行うことを重要視していたことから発達した技術であるとも言われています。

↑これが「公衆」に対して「演説」を行うための装置、つまり「PA」の最小構成です。
ざっくり説明すると、
 ・人間の声(=空気の振動)をマイクで拾って電気信号に変換する
 ・アンプで信号を増幅する
 ・スピーカーで電気信号を空気の振動に再変換する
となり、これこそが「PAの基礎の基礎」というわけです。

※ちなみに、正式名称としてマイクは「マイクロフォン」、アンプは「アンプリファイア」といいます。
スピーカーも正確にはスピーカーユニットとかエンクロージャーとかいろいろあるんですが、ここではまとめて「スピーカー」表記に省略します。

これを見て、「あれ、ミキサーは?」と思われた方も多いと思います。

確かに、PAさんといえばミキサーを操作している姿が一般的で、「PA=ミキサー」というイメージが一般的になっていますね。

しかし、上図のように「PAの最小構成」は「マイク・アンプ・スピーカー」であり、実は「ミキサーは必ずしも必要とは限らない」んですね。
では、「ミキサー」とは一体どんな機材で何のために使うのか、どういうときに必要なのかを見ていきましょう。

「ミキサー」の名前の意味はそのまま「ミックスする(=混ぜる)もの」であり、調理器具のミキサーやコンクリートなんかのミキサー車と同じ意味です。
この場合混ぜるものはもちろん「音」ですね。

「複数の音を一つにまとめてアンプに送る」のがPA機器としての「ミキサー」の役割ということになります。
実際にはミキサーは他にも様々な機能があり、あるとないとでは大きな違いが出るので、PAの基本構成には入ってくるんですが、基礎の基礎の段階で必要なものではない、という感じですね。

この構造はあらゆる「音響」の基礎であり、普段意識していないところで日常生活にも大きく関与しているのです。


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